企業法務コラム

厚生年金 悪質加入逃れは告発・企業名公表も/厚生労働省

厚生労働省は今年度から、厚生年金への加入義務があるのに加入せず、保険料を払わない悪質な企業の事業主を、厚生年金保険法違反容疑で警察に告発するとともに、公表することを決めた。加入に必要な情報を確認するための立ち入り調査を拒否した回数など、具体的基準を定めたうえで、告発に着手する。ここ 数年、未加入事業所の総数は10万前後で推移しており、同省は3年以内に半減を目指す。

厚生年金は保険料の半分を会社側が負担するため、経営状態の悪い中小企業などで加入を逃れるケースが後 を絶たない。従業員は、厚生年金より給付の不利な国民年金に加入することになるため、厳罰化で従業員の待遇改善を図る。また、政府が税と社会保障の一体改 革を掲げ消費増税を目指すなか、保険料を納めていない事業所に対する不公平感が高まっており、こうした批判をかわす狙いもある。

日本年金機構はこれまで未加入の事業所を訪問したり文書を送ったりして加入を指導、従わなければ強制的に加入させてきた。ただ、加入には従業員数や 報酬などの情報が必要で、確認のための立ち入り調査を拒否する事業所も多い。このため、最近5年間で厚生年金に加入した事業所数は、年間3000弱〜1万程度にとどまる。10年度末で10万7935事業所が未加入だ。

厚生年金保険法は懲役6月以下または罰金50万円以下の罰則を規定しているが、これまで加入逃れに対して適用された例はほとんどなかったという。加入しているが保険料を滞納している事業所は、告発の対象としない。

一方、加入事業所(10年度末で約175万)についても、4年に1度は調査を実施し、従業員の報酬など加入状況が適正かどうかを確認する。

※引用
2012年5月4日 毎日新聞
「http://mainichi.jp/select/news/20120504k0000e010143000c.html」

2012年05月08日
法律事務所ホームワン