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最高裁、詐害的な新設分割に対して初の判断を示す
最高裁第2小法廷は、平成24年10月12日付判決で「株式会社を設立する新設分割がされた場合において,新設分割設立株式会社にその債権に係る債務が承継されず,新設分割について異議を述べることもできない新設分割株式会社の債権者は,詐害行為取消権を行使して新設分割を取り消すことができる」という判断を示した。
※参考
2012年10月12日 日本経済新聞
「会社分割の乱用認めず 最高裁「資産移転の取り消し可能」」
(評)
最近、平成13年に新設された「新設分割」という手続を使って債務逃れをする会社があり、法の不備を指摘する声が多かった。
この判決の事案では、A株式会社に債務を負っていたB株式会社が,C株式会社を新たに設立。B社はC社に不動産等の重要財産を移す代わりに、C社から株式の割り当てを受けたというもの。A社の債務がC社に引き継がれれば良かったが、A社の債権は空っぽになったB社に取り残されてしまった。A社はB社がしたこの新設分割を詐害行為として取消し、B社からC社への不動産の移転登記の抹消を求めた。これに対してC社は「会社の組織に関する行為である新設分割は民法424条2項の対象外。会社法は新設分割の効力を否定するための制度として新設分割無効の訴えしか認めていない。」として争った。
この新設分割の規定の不思議なところは、新設会社C社の債権者保護手続は置かれているが、B社の債権者保護手続が置かれていないことだ。この点が悪用されて、債務逃れに悪用されることが多かった。今回の最高裁判決はこうした詐害的な新設分割に対する大きな武器を債権者に与えたことになる。
法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹
2012年10月25日
法律事務所ホームワン