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G7声明をめぐりキング英中銀総裁が会見
イングランド銀行のキング総裁は13日の記者会見で、「昨日、声明に署名した際、当局者と呼ばれる他の筋が声明発表前後に根拠のない説明を行い、声明で述べられていないことを主張するとは思いもしなかった」と述べた。さらに同総裁は「政府が国内経済成長を支えるために金融刺激措置を活用すれば為替相場に影響が生じる。こうした影響が及ぶのは容認すべきだ」「短期間で各国が成長を押し上げることを望むなら、為替相場への影響を伴う金融面などの措置を当該国が講じることを認める必要があり、為替の動きは変動相場の流れに任せるべき」とも発言した。
※参照
2013年2月14日 ロイター
「G7声明、文字通り受け止めるべき=キング英中銀総裁」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE91C00K20130213
(評)
2月12日のG7は「長年にわたりコミットしている、為替レートは市場において決定されるべきこと、そして為替市場における行動に関して緊密に協議すべきことを再確認する」「われわれの財政・金融政策が、国内の手段を用いてそれぞれの国内目的を達成することに向けられてきていること、今後もそうしていくこと、そしてわれわれは為替レートを目標にはしないことを再確認する」と声明。日本批判はなく、足元の円安は容認されたと読める内容だった。
しかしロイターが同日次のニュースを発信。
「G7高官は12日、同日公表された為替に関するG7の声明について「声明は誤って解釈されている。声明は円の過度な変動に対する懸念を示唆したものだ。」と指摘。さらに「週末にモスクワで開催されるG20財相・中銀総裁会議では、日本に注目が集まる」との見方を示した。G7声明からわずか4時間後のこと。市場は一転円高に動いた。
しかし、12日欧州中銀ドラギ総裁が「通貨安戦争の議論はかなり行き過ぎだ。そのような兆候は全く確認していない」と発言。
カナダ中銀のカーニー総裁も12日、議会証言で「日本の当局が為替相場の特定の水準を目標としているとの懸念が一部であり、G7はこの件に関して討議した。」と日本の金融政策が議論の対象となったことは認めつつ、日本の金融政策に「国内的な結果を目標としているのであり、為替相場を目標としたものではない」と理解を示した。
さらにキング総裁の上記の発言もあり、市場は再度円安に振れることとなった。
G20の有力国である中国、ブラジルが日本の金融政策を批判しており、今週末のG20財相・中銀総裁会議での協議の行方が不安視されるが、議長国ロシアのストルチャク財務次官は、13日、「円は明らかに過大評価されてきた」「日本が輸出促進のために為替レートを利用していると言うのは誇張だろう」と記者団に述べており、最悪の結果は免れそうだ。
最近まで続いた円高は、大規模な金融緩和策でドルやユーロが世界にあふれ、円だけが資本の逃避先となってしまったためだ。ブラジルに非難されるのは仕方ないとして、元凶の欧米や、為替介入を続けてきた韓国、中国に文句を言われる筋合いはない。しかし、急速な円安進行を喜ぶ日本と、ユーロやドルの上昇が景気にマイナスとなりかねない欧米各国との間には、大きな温度差がある。日本の政治家は、安易に為替のことを発言しすぎるが、発言には慎重を期してもらいたい。
法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹
2013年02月15日
法律事務所ホームワン