企業法務コラム

岡山地裁、アイスクリームで転倒に860万円支払い命令 判決に違和感

岡山市中区のショッピングセンター(SC)で、同市の女性(75)が、SCでカートを押して歩いていた際、アイスクリーム店前で床に落ちていたアイスクリームで足を滑らせて転倒、足に後遺症を負ったとして、SCを経営する天満屋ストアを相手取り、約2670万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、地裁であった。
床にアイスクリームが落ちており、女性が足を滑らせたと推認。そのうえで、事故当時にセールを行っていたアイスクリーム店が混雑していたことから、「十分なスペースを作り、そこで食べるよう誘導したり、午後6時までの清掃の委託時間を延長したりすべきだった(本件事故は午後8時10分頃に発生)」と、同社の管理責任を指摘。同社に約860万円の支払いを命じた。

※参照
2013年3月15日 読売新聞
アイスクリームで転倒、860万円支払い命令
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130314-OYT1T01705.htm

(評)
正直この判決には違和感を覚える。
確かに会社には、SC内の来場者の安全を確保する義務がある。会社側で安全のコントロールが可能な領域と、不可能な領域があり、この事故はコントロール可能な領域で発生している。
しかし、会社が危険を回避しようと思えば、膨大な費用・人員を要するが、利用者が危険を回避しようと思えば、ちょっとの注意で回避することができるものをどう扱うべきか。
こうしたものは、会社の安全管理義務の範囲に含めるべきではないのではないか。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年03月18日
法律事務所ホームワン