企業法務コラム

最高裁、区画整理中の土地売買につき判決 売買後の賦課金をめぐり

平成25年3月22日、区画整理中の土地の売買につき、最高裁第2小法廷で原審判決を破棄する判決があった。
土地区画整理事業の施行地区内の土地を購入した買主が売買後に賦課金を課された場合において,買主が売主に対し、売買当時買主が賦課金を課される可能性が存在していたとして、民法570条の瑕疵担保請求を行った事案で、最高裁は瑕疵の存在を否定した。

(評)
判決理由は以下の通り(多少短縮した)。
土地区画整理組合が組合員に賦課金を課する旨決議するに至ったのは,保留地の分譲が芳しくなかったためで,売買当時,保留地の分譲はまだ開始されておらず,賦課金を課することが具体的に予定されていない。上記賦課金の決議が本件売買から数年も経過した後にされており,売買当時,賦課金を課される可能性が具体性を帯びていたとはいえず,その可能性は飽くまで一般的・抽象的なものだった。土地区画整理法の規定によれば,区画整理中の土地について所有権を取得した者は,自動的に組合員となり,組合は,経費に充てるため,組合員に賦課金を課することができるのだから、売買後に組合から賦課金を課される一般的・抽象的可能性は,常に存在していた。
したがって,本件各売買の当時,被上告人(買主)らが賦課金を課される可能性が存在していたことをもって,本件各土地が本件各売買において予定されていた品質・性能を欠いていたということはできず,本件各土地に民法570条にいう瑕疵があるということはできない。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年03月26日
法律事務所ホームワン