企業法務コラム

米住宅価格指数上昇 市場予想を上回る前年比9.3%

4月30日発表の2月のケース・シラー住宅価格指数は、主要20都市圏の住宅価格動向を示す指数が前年比で9.3%上昇、予想中央値の9.0%を上回り、2006年5月以来の大幅な伸びとなった。住宅市況の回復が財政引き締めによる景気への悪影響を補う構図があらためて確認された。前月比(季節調整済)では1.2%上昇、エコノミスト予想の0.9%を上回った。10都市圏の指数も前年比で8.6%上昇した。

※参照
2013年4月30日 日本経済新聞
米住宅価格指数、2月9.3%上昇 S&Pケース・シラー

(評)
最近は住宅価格も近年の下落で値ごろ感が出、また住宅ローン金利も低下している。近年の住宅需要の低下の理由の一つに、以下のような銀行の住宅ローンの審査の厳格化があった。
1.サブプライム前はクレジットスコア(通常300-850で表示)が500点以下でも組めたが、620以上であることが必要になった。
2.返済額の収入に対する比率が、サブプライム前はMAX65%だったのが、サブプライム後は40-45%となった(日本は25-40%)
3.サブプライム前は住宅価値が100あれば100のローンが組めることもあったが、現在は80のローンが限界

住宅市場の改善は次のような効果をもたらす。
1.米のGDPの7割を占める個人消費。その中でも家具、サービス等も含めた住宅関連支出はその2割を占め、GDPの押し上げ要因になる。
2.米国内で労働者が移動しようにも、現住居がオーバーローンになっていると売却して移動することができないため、オーバーローンが解消すると労働移動を活発化する。
3.米国では住宅価格と住宅ローン債務残高の差額をクレジット枠として利用できるため、この差額が拡大すれば、国内消費が拡大する。

(キーワード) 米国経済 米国住宅価格

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年05月10日
法律事務所ホームワン