企業法務コラム

経産省、セーフティネット保証5号を公表

経済産業省は、9月5日、業況の悪化している業種の中小企業者の資金繰りを、一般保証とは別枠で、融資額の100%を保証する制度である「セーフティネット 保証5号」について、平成25年度第3四半期に対象となる640業種を改めて指定し、公表した。

1.制度概要
セーフティネット保証5 号とは、業況の悪化している業種に属する事業を行う中小企業者であって、経営の安定に支障が生じていることについて、市区町村長の認定を受けた事業者が、以下の条件で信用保証協会の保証を利用できる制度である(中小企業信用保険法第2条第4項第5項、法改正により9月20日以降(予定)は、第2条第5項第5号)

 保証限度額:一般保証とは別枠で、無担保8千万円、最大で2億8千万円
 保証割合:借入額の100%
 保証料率:0.7~1.0%(保証協会所定の料率)

2.平成25 年度第3四半期の指定業種について
平成25 年10 月1 日から平成25 年12 月31 日までの対象業種の指定にあたっては、現在適用しているソフトランディング措置(※)を延長して適用し、別紙の業種を指定することとした。
(※)最近月の売上高等が、リーマンショック前比5%以上減少していること 等

※参照
2013年9月5日 経済産業省 ニュースリリース
セーフティネット保証5号の対象となる業種を指定します(平成25年度第3四半期分)

(評)
かつて、信用保証協会は金融機関の中小企業に対する貸付けを全額保証していた。しかし金融機関がこの制度を悪用し、銀行が融資が焦げ付きそうになると、信用保証協会に損失を転嫁することが横行した。ひどいときは、信用保証協会保証融資=マルホ融資で借りた金で、プロパー融資を返済させるなどということもあった。このため、銀行のモラルハザードを防ぐため、責任共有制度といって、支払いが遅れても、貸付額の8割しか保証せず、残りの2割は金融機関が損失を負担する制度に切り替わった。
そうなると、金融機関がリスクを一部負担することになるため、融資審査が厳しくなった。そうなるとリーマンショックで経営が悪化した企業は、銀行審査に通らなくなり、破綻しかねず、一部不況業種に限り100%保証をし、こうした企業がお金を借りられるようにしたのである。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年09月06日
法律事務所ホームワン