企業法務コラム

相続税課税対象倍に 政府推計を上回る民間予想

三井住友信託銀行が政府の全国消費実態調査を基に試算したところ、2015年1月にはじまる相続税の課税強化で新たに590万世帯が課税対象になることが分かった。新しく課税対象になる世帯は三大都市圏が394万世帯で7割弱を占める。既存の課税世帯と合わせると1220万になり、全世帯の23%になる。
政府税制調査会は、今回の増税で実際に相続税がかかる人は5割程度の増加にとどまると見ていた。

※参照
2014年7月27日 日本経済新聞
「相続税の課税対象、1200万世帯に倍増 非課税枠縮小」

(評)
相続税対象者が政府予想をはるかに上回りそうだ。既に相続税専門の税理士事務所は、顧客の囲い込みに向けて動いている。
信託協会の6月末現在のとりまとめによると教育資金贈与信託の利用件数は、既に7万6851件、贈与額は5193億円に達している。祖父母が孫に将来の教育費を一括贈与しても、子や孫1人あたり1500万円までは、課税されないという制度だが、国の私学助成の年間予算額(14年度で約4400億円)を超える規模に膨らんでいる。2013年4月に導入されてからわずか1年3カ月しか経っていないが、急速に広がっている。
名義人が死亡すると銀行預金が凍結されてしまうため、相続税支払いのために預金性の生命保険をかける人も増えている。
東京都内で2人に1人は相続税の申告が必要になるとも言われており、転ばぬ先の杖が必要だ。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年08月08日
法律事務所ホームワン