企業法務コラム

耐震化助成1年延長 都方針特定緊急輸送道沿い

東京都は幹線道路沿いの建物の耐震化を促す助成制度の期間を1年延長し、2015年度までにする方針。
地震発生時に救援物資を運ぶ「特定緊急輸送道路」沿いにある約5000棟が対象。
制度の期間延長により、耐震診断と補強設計は15年度までに完了した分、改修は15年度までに着工した分がそれぞれ助成の対象になる。

※参照
2014年11月21日 日本経済新聞

(評)
東京都は11年3月、「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」を公布している。
東日本大震災がきっかけとなって、今後予想される首都直下地震に対する対策が大きな政策課題となっている。震災時において避難、救急、消火のため、震災後の復旧期には物資の移動が重要となるが、これを支える主要道路を「緊急輸送道路」として、建築物の倒壊により閉塞されることを防止する必要がある。このため、沿道の建築物の耐震化を推進しようというのが本条例だ。
都は、11年6月28日、緊急輸送道路約2000kmのうち、特に沿道の建築物の耐震化を推進する必要のある道路を特定緊急輸送道路に指定
次のいずれにも該当する建築物を「特定沿道建築物」とし、所有者に耐震診断の実施義務を、耐震性能が不十分とされた場合は所有者に耐震改修等の実施努力義務を課している。

ア 敷地が特定緊急輸送道路に接する建築物
イ 昭和56年5月以前に新築された建築物(旧耐震基準)
ウ 道路幅員のおおむね2分の1以上の高さの建築物

都は耐震性が不足する建物の所有者に対し、行政指導や実施勧告をし、一定期間経過後も耐震診断未実施の建築物を公表することとなっている。
上記記事によれば、対象になっている約5000棟の約85%がこれまでに助成制度などを活用し、耐震診断を実施したという。
都は「専門家による耐震化個別相談会」を次の要領で行なう。

日時:15年1月21日 14:00~17:00
場所:東京都庁第一本庁舎5階レセプションホール
定員:木造建物の耐震化  15組
   非木造建物の耐震化 30組
   融資制度      10組
TEL:03-6809-2726(平日9時~18時)
   090-3105-6961(平日18時~20時、土日祝9時~20時)

また、耐震工事を行ったマンションの見学会なども企画されている。
http://www.taishin.metro.tokyo.jp/tokyo/campaign/report_2015_winter.html

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年12月03日
法律事務所ホームワン