企業法務コラム

景観保全で行政代執行 京都市が全国初

「京都市は12月10日、歴史的な和風建築が立ち並ぶ東山区の「産寧坂伝統的建造物群保存地区」の建物に、無許可で外観の変更を加えたとして、原状回復の行政代執行を実施した。」「伝統的建造物群保存地区は全国に108ヶ所あるが、市によると、景観保全を目的にした行政代執行は全国初。」「チリ人男性が借りて2013年7月から針金細工の雑貨店を営業し、無許可で外壁の一部をショーウィンドーとして開放していた。」「市は今年6月に是正措置命令を出し、8月には代執行実施の戒告書も出したが応じなかったため、10日午前に市の職員らがショーウィンドーを木の板で塞いで固定化した。」

※参照
2014年12月10日 日本経済新聞 夕刊
京都市、景観保全で原状回復の行政代執行 全国初

(評)
行政代執行とは、行政上の強制執行の一種。義務者が行政上の義務を履行しない場合に、行政庁が、義務者のなすべき行為を代わりに行い、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収する(国税滞納処分の例による)ことをいう(行政代執行法1条、2条)。伝家の宝刀ではあるが、それだけに中々抜かれた試しが無い。よくあるのが、計画道路上に建っている家を取り壊したりというもの。景観を守るための行政代執行とは聞いたことが無い。景観を代執行でどうやって実現するのかも考えつかなかったのであろう。今回京都市は、「ショーウィンドウを木の板で塞いで固定化した」という。なかなか良いやり方ではなかろうか。
日本は観光化が進むと、景観はどんどん醜悪、低俗化する。京都で言えば哲学の道が良い例だ。今の哲学の道では西田幾多郎先生も思索することは叶わないであろう。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年12月24日
法律事務所ホームワン