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厚生年金基金 財政難 業種ごとに違い
厚生労働省は23日、AIJ投資顧問(東京都)による年金消失問題に関連し、全国578厚生年金基金の10年度末時点の財政状況などの調査結果を公表し た。全体の半数を超える312基金は年間の年金給付による支出が掛け金(保険料)収入を上回る「赤字」となっていた。このうち190基金は公的年金の厚生 年金の一部を支給するのに必要な積立金を確保していない「代行割れ」状態で、余力がないのに高い給付を続けている実態が浮き彫りになった。
厚年基金は厚生年金の一部を国に代わって運用している。運用環境の良かった時代は高収益を上げられたが、株価が低迷し、低金利が続く現状下では将来の年金給付に必要な資金を確保することさえ困難になっている。
調査によると、掛け金収入で年間の年金給付が賄えているのは266基金。うち2基金は収入と支出が同額だった。残る312基金は支出の方が多い状態で、 十分な積み立てがあれば将来の給付を賄うことも可能だが、312基金中、190基金は積み立て不足の代行割れだ。中でも185基金は中小の同業者で作る 「総合型」で、11基金は純資産が厚生年金の給付に必要な額の7割未満しかない。ある運輸業の基金は半分程度しか確保できていない。
単年度では給付を賄える基金も含めた「代行割れ」は212基金だった。
また、将来の給付に備えた運用利回り(予定利率)は全体の約9割、502基金が制度当初から5.5%と極めて高い。予定利率を下げても不足額は掛け金の 引き上げなど運用以外で穴埋めしなければならず、中小企業を母体とする総合型は予定利率引き下げも難しい状況になっている。
【石川隆宣】
※引用
3月24日 毎日新聞
「厚生年金基金 財政難 業種ごとに違い」
2012年03月28日
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