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13か月で休みは3日。茨城の事案から労災を考える
水戸労働基準監督署は1日、男性社員に13カ月間で3日しか休日を与えなかったとして、労働基準法違反の疑いで、茨城県笠間市の和菓子製造会社「萩原製菓」と男性会長(69)、女性社長(54)を書類送検した。
労基署によると、社員は昨年8月30日、仕事を終えて帰宅後に倒れ、心室細動により、同9月1日に30歳で死亡。今年2月、過労死が認定された。送検容疑は、労基署に労働協定の届け出をせずに、平成22年8月から死亡直前の昨年8月までに休日を3日しか与えず、計53日の休日労働をさせたとしている。会長と社長は容疑を否認している。
※引用
2012年10月1日 msn産経ニュース
「13カ月で休みはたった3日 社員過労死で書類送検 茨城の和菓子メーカー」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121001/crm12100116570016-n1.htm
(評)
この記事では単に「労働基準法違反の疑いで」書類送検したとしか書いていないが、「36協定なしに、週40時間、日8時間を超えて労働させた」「週1日の休日を与えなかった」「割増賃金を支払わなかった」ため、同法119条の罰則規定に該当するとして書類送検されたものと思われる。同条によると上記の違反行為は6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処するとしている。
本件事案は死亡事故であるが、長時間労働の結果、うつ病等の精神障害を生じた場合にも、使用者側の責任は重くなっている。
厚労省は、11年12月26日付で「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」を改正し、名称も「心理的負荷による精神障害の認定基準」に変更しているが、同基準では、長時間労働について、労災基準が明確化されている。月160時間程度の時間外労働の結果精神障害があれば、即労災認定となるし、発病直前2か月間に月120時間以上、または、直前3か月間に月100時間以上の長時間労働が有った場合に精神障害を起こせば、原則労災認定される。
労災認定がなされれば、安全配慮義務違反でさらに損害賠償請求される可能性がある。企業側でも、労災給付額だけでは死亡事故の補償額としては不足するため、上積み給付を可能とする共済保険に加入することが必要だ。長時間労働させないのが基本だが、併せて保険の活用も検討すべきだろう。
法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹
2012年10月17日
法律事務所ホームワン