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大規模建物の耐震調査、所有者に義務化 国交省方針
国交省は、2013年の通常国会に「耐震改修促進法」の改正案を提出、大規模建物の耐震性調査を所有者に義務づける方針。以下が検討中の内容である。
・床面積5千㎡以上、または、幹線道路や震災時の避難路沿いにある81年以前の旧耐震基準の建物が対象
・50万~100万円程度の罰金
・耐震性能を3段階で判定
・国交省は調査に必要な費用(数百万~1千万円程度)を補助
・耐震性の不足する建物には改修・建替えを求め、従わない建物名を公表
・耐震工事費用について助成金支給
※参考
2012年10月29日 日本経済新聞 朝刊
「耐震調査の義務化、所有者らの反発も 多額の費用必要」
(評)
旧基準の大規模建物は全国に15万棟以上。4割が耐震性能調査を受けていない。義務付対象となる建物は全国で1万~2万棟あるとみられる。
東京都は既に11年3月に「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」を公布している。この条例は4月1日から施行され、特定緊急輸送道路沿道の建築物のうち条件に合致する建物の耐震診断を義務づけ、正当理由なく診断しない場合は、所有者名の公表や過料・罰金などの罰則を科すという内容。12年4月1日から耐震診断義務化が開始している。
今回の法改正は、国が補助金まで使って、耐震性能調査を推進し、かつ、建替費用に助成金を出そうというものだ。
ただ、耐震性が増せば建物の価値は上がる。一部の人の利益のために税金を使ってよいのかという、議論は起きそうだ。12年7月策定の日本再生戦略にも、中古住宅流通市場・リフォーム市場の規模倍増で20年までに20 兆円の経済効果を目指すとしているが、国交省の今回の法改正はこれに乗っかる形で今回の方針を立てたとも言える。
法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹
2012年11月13日
法律事務所ホームワン