企業法務コラム

下請法違反の勧告額、過去最多48億円。PB商品関連の案件多く

下請業者に支払う代金を不当に減額したなどとして、公正取引委員会が2012年、下請法に基づいて元請けに勧告し、返還を求めた金額は約48億6800円に上ったことが分かった、11年に比べて約2.7倍に増加し過去最多となった。12年の勧告件数は11年より5件多い21件。下請け業者に対する書面調査などを通じ公取委が違反行為の発見に努めていることなどが背景にある。21件の勧告のうち、15件はPB商品の製造に絡み、小売業者が不当減額した事案だった。

※参考
2013年1月8日 日本経済新聞 朝刊
「下請法違反の勧告額、過去最多に 公取委 昨年、48億円返還求める」

(評)
48億円という金額は確かに大きいが、これは9月25日付で日本生活協同組合連合会に対して行われた勧告による影響が大きい。同勧告もまさに上記日経記事が指摘するPB商品絡みの不当減額事案で総額25億余円にも及ぶ。この1件がなければ、24億円程度に納まるため、前年比でいえば1.3倍程度となる。最近はPB商品絡みの勧告案件が多く、23年度も18件中10件がこの関連で、狙い撃ちにされている感がある。
そして、こうした公取委の勧告に大きく寄与しているのが、下請け業者に対する書面調査だ。公取委は中小企業庁の協力も得て、毎年20万社ほどの下請け業者にアンケート書面を送り、情報収集に努めている。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年01月10日
法律事務所ホームワン