企業法務コラム

看護師国家試験で外国人候補者に特例 日本語のハンディ補えるか

2月17日に、看護師国家試験が実施されるが、厚労省は、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師候補者に配慮し、日本語のハンディキャップを補えるよう、特例的な対応を行うという。昨年度の試験でも、難解な用語・表現は言い換える、疾病名には英語を併記する等の配慮があった。今回は、さらに試験時間を一般受験者の1.3倍に延長する、全ての漢字に振り仮名を付けた問題用紙を配布する等新たな対応が行われる。

※参照
平成25年2月15日 厚生労働省ホームページ
「第102回看護師国家試験で経済連携協定(EPA)に基づく外国人候補者への特例的な対応をします」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002vaz4.html

(評)
EPAに基づき、フィリピン、インドネシアから多くの優秀な人材が日本に来て看護師になるべく勉強している。しかし過去4回の試験における外国人受験者の合格率は平成21年が0%。その後も22年が1.2%、23年が4.0%で、特例的配慮を行ったとする24年でさえ11.3%であった。一般受験生の合格率が9割前後であるのに比べると、ほとんど門前払いに等しい扱いだと言える。
このような、お役所の硬直的な扱いは、希望に燃えて来日した外国人看護師志望者に対しても失礼だし、EPA当事国の反発さえ招いている。
近年、富裕層の患者を獲得すべく、国際的競争が激しい。日本の病院も高価な医療機器を遊ばせず、財務内容を好転させるためにも、外国人患者の招請を進める必要がある。そうしたビジネスで、外国人看護師の活用範囲は広がってくる。
少子化が進み国力の衰退が懸念される中、このような高度人材に消極的な扱いをすることは最早許されないだろう。期待を込めて、今年の合格率を見守りたい。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年02月15日
法律事務所ホームワン