企業法務コラム

民事再生後の「再倒産」3年で90社 借金返済が軽減してもなお赤字という企業が増加

帝国データバンクは、2000年4月の民事再生法施行以来、再生手続き終結後に再び倒産した企業(「再倒産」件数)を集計した。あわせて、09年3月末までに再生手続きを終結した3012社のうち、直近の業績が判明した企業を対象に、終結後の売上状況、損益状況を追跡調査した。
今回の調査は、10年4月19日に続いて2回目となる。
1. 「再倒産」企業は、13年3月1時点の累計で232社。前回調査では10年間で累計141社判明していたが、直近わずか3年では91社が「再倒産」するなど、増加基調が強まる
2. 11年度の売上状況を見ると、「減収」が468社(46.8%)、「横ばい」が112社(11.2%)。手続き終結後も売上が回復していない企業は、全体の約6割を占めていることが分かった
3. 11年度の損益状況を見ると、「黒字」506社(69.8%)に対し、「赤字」は219社(30.2%) で、約7割が黒字。借入金利負担の軽減やリストラ効果で、総じて収益性は改善している
4. 業種別では、「サービス業」「小売業」で、売上回復の遅れが目立つ。損益状況を見ると、「製造業」の黒字企業比率(72.7%)が相対的に高いことが分かった

※参照
2013年3月21日 株式会社帝国データバンク
特別企画:「民事再生終結企業」の追跡調査
3年で90社が「再倒産」~6割が「売上回復せず」~
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p130307.pdf

(評)
民事再生法の申請件数は12年662件、13年1110件、14年1093件、15年941件、16年712件、その後は646件、598件、654件、859件、661件と600件前後で推移。22年は348件、23年は327件と激減したが、これはもちろん金融円滑化法の影響だ。
上記データを見て分かるのは、企業再生のあり方が、B/S調整型からP/L調整型に変わってきているという事実だ。以前は、本業は好調だが、債務の負担が重すぎるという企業が、民事再生でB/Sを調整して、業績を回復するという絵を描くことが可能であった。しかし、今は、売上自体が低調で、借金返済が軽くなってもなお赤字だという企業が増えている。
ゲームのルールが、数年間で激変してしまうことも多く、こうしたことが上記の数字に表れているのではないか。業種によっては、今までのように「今ある仕事をまじめにやっていく」というだけでは、ビジネスの流れから取り残される状況が発生している。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年03月28日
法律事務所ホームワン