企業法務コラム

日本版クラス・アクション 企業が年最大19兆円損失の可能性

消費者庁は米国のクラス・アクション制度を下敷きにした「集団的消費者被害の回復請求訴訟」導入のため、法整備を進めているが、慶応大大学院の岩本隆特任教授が、いざ同制度が導入されると企業は最大19兆円の損失を受けるとの調査結果をまとめた。
同教授は消費者庁が把握している平成11年度の消費者被害の数を基に、①賠償金ないし和解金、②弁護士費用、③風評被害を試算し、同金額を弾き出した。もっとも現在政府が検討している国が認定した11の適格消費者団体のみが提訴できるとなれば、損害額は3千億ないし1兆円と推定する。
同教授は「制度の導入で実際には損害を感じていない消費者まで保証の対象になり、賠償額が飛躍的に増加する可能性がある」としている。

※参照
2013年4月5日 朝日新聞 朝刊
「消費者団体が代行訴訟「企業、年最大19兆円損失」 慶大院特任教授が試算」

(評)
同制度の導入について、経済団体は諮問されたり、意見を求められたりしておらず、今後経済団体からの巻き返しが予想される。

キーワード:集団的消費者被害の回復請求訴訟、クラス・アクション

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年04月11日
法律事務所ホームワン