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能率産業大調査 製造部門で「オープン・イノベーション」効果「有った」が7割超
学校法人産業能率大学の「日本のものづくりを担う技術管理者の課題認識調査」が公表された。
従業員数1000人以上の企業に勤める研究開発、製造、生産技術など技術系部門の管理職に対して、インターネット調査し、500の回答があり、4月発表があった。
製造現場の5S、ブランド力の2項目はわずかに「高い」が「低い」を上回ったが、開発力、IT活用、生産計画変更への対応力、特許取得に向けた姿勢、製造力への評価、製造のリードタイム、製造移管の立ち上げスピード、生産技術の開発力への評価、ここ数年の開発設計の進捗、製品企画の適切さ、研究テーマの設定の適切さ、販売・マーケティング部門等の技術部門以外との連携、調達業務の進め方への評価は何れも低いが高いを上回っている。
開発力、IT活用、は「高い」が3割超あったが、残り項目は「低い」が5割を超える一方、「高い」は3割を切っている。
日本の「ものづくり」について、中長期的にみて世界での競争力はどのように変化すると思うかを尋ねたところ、「低下する」が59.2%と6割弱に達した。
※参照
2013年4月
学校法人産業能率大学の「日本のものづくりを担う技術管理者の課題認識調査」
http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/tech_manage.pdf
(評)
日本の製造現場の問題点がそのまま表れた調査結果だろう。工場管理技術は優秀、技術力はそこそこ。しかし、それを商品化につなげるとなると、販売部門との連携も薄く、開発の方向性が定まらない。
まずは営業部門との連携を密にして、売れる技術の開発につとめることも必要だが、もうひとつの起爆剤はオープン・イノベーション。ベンチャーに門戸を開き新たな技術を取り入れる、他業種と連携し、技術の応用範囲を広げる、産学の連携を強化する等して、シナジー効果を発揮する手法だ。
これについて興味を魅かれる数字がある。この手法の取組みを「している」が、研究開発部門では6割弱だが、製造部門では3割強に過ぎない。しかし、同手法の効果が上がったかについて見ると、研究開発部門は「無い」が44・3%、「有った」が55.7%だが、製造部門にいたっては「無い」が28.1%、「有った」が71・9%で逆転する。ここにヒントがあるのではないか。
しかし、心もとないのは「オープン・イノベーション」の認識度。この言葉を聞いたことが「ない」が58.4%。まず、そこから始める必要がある。
法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹
2013年04月23日
法律事務所ホームワン