企業法務コラム

法人税20%台 自民が参院選で選挙公約に

自民党は4月24日、国と地方をあわせた法人税の実効税率を大幅に引き下げて「20%台」にすることを参院選の選挙公約に明記する方針を固めた。平成26年度の税制改正に反映させたい考えだ。

(評)
法人税の実効税率は、23年度税制改正で40%強から35・64%に引き下げられた。それでも、中韓20%台半ば、シンガポール17%、独29・48%に比べれば高い。
今回の自民党の法人税減税の公約は、企業の海外進出を踏みとどまらせるのが目的だという。確かに、23年度の国内設備投資額は30兆円程度で、19年度に比べて8割以下の水準。
他方、海外への直接投資は約1・5倍と、拡大している。しかし、いくら法人税が安くなっても、グローバル化、水平分業化、モジュール化が進んでいる現代では、途上国に生産拠点が移るのは必然である。
むしろ海外への投資が国内に還流し、サービス産業が雇用とGDPを支える仕組みを作る方が有効かもしれない。そのためには、成長戦略の推進が不可欠だ。ただ、金融政策、財政出動の2本の矢と違い、成長戦略は規制緩和の役割が大きく、既得権勢力、霞が関との戦いになる。
なお、参考までにいうと、国の12年度歳入実績は所得税が13.5兆円、消費税が10.4兆円、法人税が8.8兆円。法人税は、最盛時の89年には19兆円あったから、その2分の1にまで落ちている。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年04月26日
法律事務所ホームワン