企業法務コラム

消費税の転嫁が円滑に進むよう特別措置法案が成立

消費税率の引上げに際し、中小企業が納品先の大企業に消費税を上乗せできないのではと、危惧される中、消費税の転嫁が円滑に進むよう、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」が、5日成立した。同法は,6月12日に公布される。

※参考
公正取引委員会ホームページ
(平成25年6月5日)「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」の成立について
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/jun/tenkataisakuhouan.html

(評)
消費税還元セールを禁止するものとして、法案段階から話題になっていた法律である。
法律は、概略次のような規定をしている。

1 消費税の転嫁拒否等の行為の禁止(減額、買いたたき、購入強制、役務の利用強制、不当な利益提供の強制、税抜価格での交渉拒否)
2 転嫁拒否等の行為に対する検査、指導・助言、公取委への措置請求、公取委による勧告・公表
  ※勧告に従えば独禁法上の措置はとらない
3 消費税の転嫁を阻害する表示
「消費税は転嫁しません」「消費税率上昇分値引きします」「消費税相当分,次回の購入に利用できるポイントを付与します」等の表示
4 転嫁カルテル、表示カルテルを認める
5 消費税の円滑適正な転嫁のためであれば、税込価格を表示するを要しない(表示価格が税込価格と誤認されないようにする必要あり)。但し、できるだけ早期に税込価格を表示するようにしなければならない。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年06月06日
法律事務所ホームワン