企業法務コラム

最高裁判決 解雇無効で復職した場合の有休申請

最高裁第一小法廷は、 平成25年6月6日、 平成23年(受)2183号年次有給休暇請求権存在確認等請求事件 (原審判決は東京高等裁判所 平成23年07月28日付)について、「 労働者が使用者の正当な理由のない就労拒否のために就労することができなかった日も、労働基準法39条1項及び2項(有給休暇)にいう全労働日に含まれる」との判断を示した。

(評)
本件は、解雇を争い、勝訴し、復職を果たした原告が、有休申請をしたところ、会社が復職前の欠勤ゆえ8割に達していないとして、有休を認めなかった事案。
最高裁は「法39条1項及び2項における前年度の全労働日に係る出勤率が8割以上であることという年次有給休暇権の成立要件は,法の制定時の状況等を踏まえ,労働者の責めに帰すべき事由による欠勤率が特に高い者をその対象から除外する趣旨で定められたものと解される。このような同条1項及び2項の規定の趣旨に照らすと,前年度の総暦日の中で,就業規則や労働協約等に定められた休日以外の不就労日のうち,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえないものは,不可抗力や使用者側に起因する経営,管理上の障害による休業日等のように当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものは別として,上記出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものと解するのが相当である。」と判示した。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年06月13日
法律事務所ホームワン