企業法務コラム

厚労省 脳疾患・心疾患、精神障害による労災申請、支給決定状況を取りまとめ

長時間労働は、くも膜下出血などの脳血管疾患や、心筋梗塞などの心臓疾患を引き起こしたり、うつ病を引き起こす。厚労省は6月21日、平成24年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を取りまとめ、公表した。これによると労災補償状況は次の通りで、脳疾患心疾患、うつとも増加傾向にある。

脳・心臓疾患に関する事案の
(1)請求件数は 842件で、前年度比 56件の減。3年ぶりに減少した。
(2)支給決定件数は338件(前年度比28件の増)で、2年連続で増加した。
(3)業種別(大分類)では、支給決定件数は「運輸業,郵便業」91件、「卸売業,小売業」49件、「製造業」42件の順に多い。中分類では「運輸業,郵便業」の「道路貨物運送業」が71件で最多。
(4)職種別(大分類)では、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」86件、「専門的・技術的職業従事者」62件、「販売従事者」39件の順に多い。中分類では、「自動車運転従事者」が83件で最多。

2 精神障害に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は 1,257件で、前年度比 15件の減となったが、引き続き高水準で推移。
(2)支給決定件数は475件(前年度比150件の増)で、過去最多。
(3)業種別(大分類)では、支給決定件数では「製造業」93件、「卸売業,小売業」66件、「運輸業,郵便業」「医療,福祉」ともに52件の順に多い。中分類では、「医療,福祉」の「社会保険・社会福祉・介護事業」が33件で最多となっている。
(4)職種別(大分類)では、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」117件、「事務従事者」101件、「サービス職業従事者」57件の順に多い。中分類では、「事務従事者」の「一般事務従事者」が65件で最多となっている。
(5)出来事別の支給決定件数は、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」59件、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」55件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」51件の順に多い。また、増加件数は、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」(前年度比29件増)、「(重度の)病気やケガをした」(同27件増)、「上司とのトラブルがあった」(同19件増)、「セクシュアルハラスメントを受けた」(同18件増)、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(同15件増)の順に多い。

※参考
厚生労働省ホームページ 平成25年6月21日
平成24年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」まとめ
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034xn0.html

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年06月25日
法律事務所ホームワン