企業法務コラム

消費税転嫁対策特別措置法ガイドライン案 公表される

本年10月1日に予定されている消費税転嫁対策特別措置法の円滑な施行に向けて、7月25日、公正取引委員会、消費者庁及び財務省は、以下のガイドライン案を公表。同日パブリックコメント手続を開始した(意見提出の締切日は8月23日)。

(評)
消費税は平成26年4月1日から8%に、平成27年10月1日からは10%に増額される予定だが、最終的な決定は景気動向を見て9月になされる。麻生財務相は7月23日の記者会見で「消費税増税は国際公約」と、来年4月に予定通り税率を8%まで上げる必要があると強調した。最終的な判断時期について、麻生財務相は8月12日発表の4~6月期GDP速報値を見てから、という意見だが、管官房長官は9月9日発表のGDP改定値を見て判断すべきとの見解。どちらにせよ、9月には平成26年4月の増税が決まるはずだ。
ただ消費税増税が、中小企業にだけ大きな負担をかける可能性がある。本来であれば、消費税を払って買っても、それを消費税込みで売るから、消費税の影響は直接は受けないはず。しかし、中小のメーカーが、大手スーパーに消費税込みで商品を買ってもらえるかというと、力関係から言って難しい。それを何とかしようというのが消費税転嫁対策特別措置法だ。

まず公取委が中心となって、特定事業者(大規模小売事業者、特定供給事業者から継続して商品又は役務の供給を受ける法人事業者)が特定供給事業者(大規模小売事業者に継続して商品又は役務を供給する事業者、資本金等の額が3億円以下である事業者、個人事業者)に対し消費税を支払うようにと、以下の定めをしている。

1.特定事業者の遵守事項(特定事業者は特定供給事業者に対し、以下の行為を行ってはならない。)
(1)減額・買いたたき、(2)購入強制・役務の利用強制、不当な利益提供の強制、(3)税抜価格での交渉の拒否、(4)報復行為
2.転嫁拒否等の行為に対する検査、指導等
1の行為があった場合公取委等が指導・助言を、従わない場合は措置請求を、さらには勧告・公表を行うことになる。
公取委が次のガイドライン案を公表している。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/jul/gl_pabukome.files/20130725-3.pdf

次いで消費者庁が中心となって、消費税の転嫁を阻害するような以下の表示をしないように定めている。
(1)取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示
(2)取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示であって消費税との関連を明示しているもの
(3)消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって
(2)に掲げる表示に準ずるもの。

ただ、どのような表示がこれにあたるか分かりにくいため、上記ガイドライン案が発表されている。
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/jul/gl_pabukome.files/20130725-3.pdf

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年07月30日
法律事務所ホームワン