企業法務コラム

改正被災マンション法公布施行

被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の改正法が平成25年7月30日公布施行となった。
同法律は平成7年の阪神・淡路大震災を受け制定されたものである。改正前の法律でも、災害により区分所有建物が滅失した場合、5分の4以上の多数決で、その敷地に建物を再建することができた。ただ、区分所有建物が重大な被害を受けた場合、建物の取壊しや売却の必要が出てくるが、その場合は同法の適用がないため、全員の同意が必要だった。また、区分所有建物が滅失した場合、敷地を売却する必要も生じることもありうるが、その場合にも同法の適用がなく、全員の同意が必要だった。
改正法はこうした不備を是正し、建物が重大な被害を受けた場合、5分の4以上の多数決で建物を取壊したり、売却したりできることにした。また建物が滅失した場合も、5分の4以上の多数決で敷地を売却したり、敷地上に新しく建物を再建できることとなった。

(評)
震災が発生すれば、ただちにこの法律が適用になるわけではなく、政令で指定されることが必要となる。取り壊しには自治体から補助が出るが、昨年9月が申請期限のため、今の段階では自分たちで全額負担する必要がある。ただ、申請期限を早く切り過ぎではなかろうか。自宅マンションが全壊、半壊したこと自体ショックだろうし、そこからマンションを取り壊そうというふうに気持ちを切り替えるのにも、やはり時間が必要だ。この法律によって5分の4以上の多数決で解体できるのも法律施行後1年と余りに短い(跡地売却は3年)。もう少し血の通ったものにすべきだろう

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年08月08日
法律事務所ホームワン