企業法務コラム

地域経済活性化支援機構発足3年

地域経済活性化支援機構の平成25年8月6日付発表によると、今年3月の発足後、7月末までに、35件の再生支援が決まったという。うち、中小企業者等が27件、中堅事業者が6件、大規模事業者(資本金5億円超、かつ、従業員数1千人超)が2件となっている。業種別にいうと、製造13件、医療10件、運輸:2件、漁業1件、通信1件、その他8件(建設、卸売、宿泊業)となっている。

債権買取り状況は次の通り
1 買取決定を行った累計の件数:20件
2 買取決定案件に係る累計の買取債権の元本総額:80,192百万円

出資の状況は次の通り
1 出資決定を行った累計の件数:12件
2 出資決定案件に係る累計の出資総額:369,090百万円

(評)
同機構の前身は企業再生支援機構。有用な経営資源を有しながら、過大な債務を負っている中堅・中小企業等の事業再生を支援することを目的として2009年に国の認可法人として、5年間の時限立法により設立された。ところが2008年(平成20年)2月に内閣府によって株式会社地域力再生機構法案として法案が提出された。しかし、だんだん中小企業支援という本来の道を踏み外し、日航の支援まで行うようになっていった。
今年の3月、同機構が改組され、現機構となった。地域の中核的な企業を出資、融資によって資金面で支えるほか、債権買取等も行い、事業再建の専門家を派遣、新たに事業再生ファンド・地域活性化ファンドに対する無限責任組合員出資(ゼネラルパートナーとしてファンドの業務執行を行う。)等の業務も追加された。支援の受付期間は2018年3月末までとなっている。
同機関は地域の中核的企業を救うことが本旨であるが、支援を受けやすい企業と、受けにくい企業とがある。一番支援が受けやすいのは病院だろう。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年08月09日
法律事務所ホームワン