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金融円滑化法終了後、中小企業融資はどうなったか
金融庁は、平成25年11月1日、「金融機関における貸付条件の変更等の状況について」と題し、金融機関(1497社)における貸付条件の変更等の状況(中小企業者向け)を公表した。
貸付条件の変更の申し出があった中で、審査中・取下げを除いた実行率は、円滑化法終了直前の平成25年3月で97.4%だが、終了直後の4月も97.4%で変わらず、5月には逆に97.5%に上昇。その後8月まで引き続き97.5%を維持していることが明らかになった。
※参照
平成25年11月1日 金融庁ホームページ
金融機関における貸付条件の変更等の状況について
(評)
中小企業が貸付条件の変更(リスケ)を求めてきたら、柔軟に応じなさいとした金融円滑化法は、本年3月31日に期限を迎えた。しかし、金融庁は期限終了前から「金融機関が引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべきということは、今後も何ら変わらない。」との見解を、機会ある毎に述べてきた。法律がなくなったからといって、銀行の対応が従来と変わることはありませんよ、という訳だ。
しかし、実際、円滑化法開始となれば、銀行は貸付条件変更には応じなくなるのではという危惧もずいぶんささやかれていた。しかし、上記を見る限り、金融庁が言っていた通り、円滑化法の終了前後で特に状況は変わっていない。
ただ気になる点がないではない。まず貸付条件変更の申出件数が大幅に減っていることだ。平成24年10月から平成25年3月までは月平均104,238件の申出があったが、平成25年4月から8月までの申出件数は月平均98,453件となっており5%ほど減少している。円滑化法が終了したことで、貸付条件の変更申出を躊躇した企業が多かったのだろうか。
それとも、金融機関側が条件変更の申出をしないように誘導している可能性もあるかもしれない(特に再度のリスケの場合)。しかし、そういった場合、中小企業は金融機関の牽制に迷わされることなく「受けてもらえるかどうかは分かりませんが、一応、申出はさせてください。」と貸付け条件変更の申出をして、引き下がらなければ、受けてもらえる可能性がある。申出は顧客側が一方的にできる行為で、金融機関から承諾を貰う必要はない。だから遠慮をする必要はない。あくまで申出をするべきだ。そうすれば97.5%の実行率が待っているかもしれないからである。
ただ銀行から中小企業再生協議会に相談するように言われたら、その話には乗っかった方が良い。同協議会で再生可能企業の資金繰りの後押しをしてもらえるからだ。
法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹
2013年11月06日
法律事務所ホームワン