企業法務コラム

私的整理の新指針 中小の事業再生や会社清算しやすく

政府は業績悪化した中小企業の経営者が、早期に事業再生や会社清算に取り組めるように、新たな私的整理の指針を設け、経済対策に盛り込むことを発表した。
新指針は国内約420万社の中小企業を対象とし、金融庁と中小企業庁が作成した報告書を基に、全国銀行協会などの主催する研究会が具体的な指針を作る。
新指針のポイントは以下の通り。

・会社の借金を経営者本人が肩代わりする「経営者保証制度」の抜本的な見直し。
・経営者が早期の私的整理を決断すれば、生活費として99万円~460万円程度の現金や「華美でない」自宅を残すことを認める。
・経営者責任については、私的整理になったという理由だけで一律に経営者の交代を求めないよう配慮する。
・経営者が個人資産を売って弁済した後に残った借金は、金融機関が債権放棄に柔軟に応じる。
・新指針に沿って金融機関が債権放棄した場合、無税償却を認める。

新指針は年度内に発効する予定。メガバンクから地方銀行、信用金庫も含む業界横断的なルールとする。法的な拘束力はないが、金融庁は金融機関の検査・監督を通じてルールの順守を求める。

※参照
2013年12月1日 日本経済新聞電子版
「中小の再起業しやすく 私的整理時、私財一部残す 政府が新指針、経営者の没収懸念を払拭」
2013年12月5日 日本経済新聞電子版
「金融機関、中小企業の債権放棄しやすく 私的整理時に無税償却」

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年12月09日
法律事務所ホームワン