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米国 6月は雇用者増加28万8000人
6月の米国の、前月比雇用者増加数(非農業部門)は28万8000人。5ヶ月連続での20万人超えとなった。失業率は前月比0.2ポイントダウンの6.1%。6月の時給は前月比0.2%増、前年同月比2%増と、物価上昇率を上回り始めた。
※参照
2014年7月4日 日本経済新聞 朝刊
「米雇用増、景気に追い風 来年は3%成長も」
(評)
FRBは12年12月12日のFOMCで、それまで15年中頃までと言っていたのを、失業率が6.5%程度になるまで、事実上のゼロ金利政策を続けると修正した。それが13年9月18日には、バーナンキが「失業率が6.5%を大幅に下回るまでは実現しない可能性もある」と述べ、さらにハードルを上げ、さらには雇用の改善には注視するが、失業率の数字にこだわらない姿勢を見せている。というのも、失業率が減っても、雇用の質の改善が進んでいないためだ。労働に高スキル、中スキル、低スキルの労働があるが、現状高スキル、低スキルの労働者は増えているが、中スキル労働者はリーマン以降数値は改善していない。このため、中スキル労働者を中心に長期失業者の割合が改善しない。最近の失業率の低下は、こうした中スキル労働者が中スキル労働に就くのを諦め、低スキル労働に回っているからではないか。中間層の喪失の問題である。時給の上昇も、低スキル労働市場の需給がひっ迫してきたための上昇ではないか。
とはいえ、中間層の喪失は構造的問題であるから、これの改善は一朝一夕には難しい。景気全体は上昇ムードにあり、来年度中には、出口を探す展開になりそうだ。
ところで、FRBが、金利引き上げの見通しを15年中頃としていたのを、失業率が6.5%を下回ったらと基準を変えた際、バーナンキは、失業率が6.5%を下回るのは15年半ばごろと見込んでおり、目標時期は実質的に変わっていないと強調した。しかし実際にはそれを上回るペースで失業率は改善している。楽観派は景気の回復に加速がついてきたというであろうし、悲観派は最早中スキルの仕事は見つからないと諦めた中スキル労働者が低スキル労働に就く流れが加速したからと見ることになるかもしれない。
法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹
2014年07月07日
法律事務所ホームワン