企業法務コラム

タブレット端末での医師の指示でも 看護師による採血が可能

2014年10月3日付で、経産省より「看護師の採血行為には、医師の指示が必要となるが、医師の指示を書面やタブレット端末を利用したテレビ電話等で行うことが保健師助産師看護師法に抵触しない」との回答が行われた。産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」を利用してのもの。

※参照
経済産業省ニュースリリース
スポーツクラブ等における採血健康診断事業の実施方法が明確化されます~産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用!

(評)
「グレーゾーン解消制度」とは、本年1月20日に施行された産業競争力強化法に基づく制度。事業者が新事業活動を行うに先立ち、あらかじめ規制の適用の有無について、政府に照会し、事業所管大臣から規制所管大臣への確認を経て、規制の適用の有無について、回答する。本件の場合、健康サービス事業者が当該事業を所管する経済産業大臣に照会し、経産大臣が保健師助産師看護師法を所管する厚生労働大臣に照会、厚生労働大臣が経産大臣に回答、これを経産大臣が事業者に回答した。
保健師助産師看護師法第37条において、「保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。」とされている。しかし厚労省が検討した結果、医師の指示については医師の立会いまで求めるものではなく、書面又はタブレット端末を利用して行われたとしても、保健師助産師看護師法に違反するものではないとの結論に達した。この結果、スポーツクラブ等の身近な場所で簡便に健康状態を確認できる環境が整備されることとなった。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年10月10日
法律事務所ホームワン