企業法務コラム

過労死等防止対策推進法が施行

過労死等防止対策推進法が11月1日施行された(成立は2014年6月20日)。

(評)
同法は、過労死等を取り締まる法律ではない。過労死等に関する調査研究を行い、その実態を明らかにし、その成果を過労死等防止策に生かすことができるようにし、また、過労死等の防止の重要性について国民を啓発することを目的としている。
この法律では、「過労死等」を「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」と定義し、過労死等を防止するための対策を効果的に推進することを国の責務としている。

この法律の主な内容は、次のとおり。
1 政府は、毎年、国会に、過労死等の概要および政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならない
2 政府は、過労死等の防止のための対策に関する大綱を定め、公表しなければならない
3 国は、過労死等に関する調査研究等を行うものとする
4 国および地方公共団体は、過労死等の防止に関する啓発、相談体制の整備、民間団体の活動支援等に対して、必要な施策を講ずるものとする。11月を「過労死等防止啓発月間」とする
6 厚生労働省内に過労死等防止対策推進協議会を設置する。厚生労働大臣は政府の大綱の案を作成するに当たり、同協議会の意見を聴くものとする

同法が成立したことで、厚生労働省は「過労死等防止対策推進室」を設置し、11月1日には「過重労働解消相談ダイヤル」を実施した。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年11月04日
法律事務所ホームワン