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政府 中小企業や社会福祉法人への課税強化を断念
「政府の税制調査会は社会福祉法人など公益法人等への課税強化を7年ぶりに検討していた」が、これを断念した。
社会福祉法人や学校法人は原則非課税で,物品販売や飲食などの34の収益事業にのみ税がかかる。法人税率は19%と,通常の法人(25.5%)に比べ低い。さらに収益事業であげた利益を非営利事業で使ってしまえば一定額まで課税されない。
「財務省が検討していた中小企業への特例の税優遇の廃止も見送る方針だ。リーマン・ショック後,中小企業の法人税率(国税)は年800万円以内の所得に対し,特例で15%の税率が適用されている。14年度末に期限が来るため廃止を検討したが,大企業に比べて業績回復が遅れている中小企業に配慮して延長する見通しだ。」
「来年度の法人実効税率下げは赤字大企業への負担増などでまかなう。」
※参照
2014年12月11日 日本経済新聞
中小など課税強化を先送り 政府、社会福祉法人も断念
(評)
公益法人等の中でも、特に矢面に立たされていたのが社会福祉法人だ。社会福祉法人は多額の補助金をもらっておきながら、巨額の内部留保を抱えているのはおかしい、という議論が、最近日経を中心に報じられていたので、興味を持っている人もいるだろう。政府の規制改革会議では、社会福祉法人の経常収入に対する経常黒字率が年6%程度で、東証上場企業の平均経常利益率(5%弱)を安定して上回っているという議論もあった。
ただ、社会福祉法人側からも反論はある。社会福祉法人は初期投資が補助金等で賄われているため、会計上減価償却がない。減価償却が無い分、黒字になるので、一般企業との比較が難しい。また、設備の更新等の大型の資金需要も将来発生するため、内部留保金は大きくならざるを得ない。
中小企業課税強化は、時期尚早だ。リーマンショックによる傷が癒えてきたと思ったら、この急激な円安である。輸入企業が多く、財務も脆弱な中小企業の経営は、非常に厳しい状態にある。政権はトリクルダウンなんて言っているが、大企業の成長のおこぼれが中小企業の方に回ってくるまでにつぶれるかもしれないという中小企業が多数存在する。その中での中小企業課税強化は到底受け入れられるものではない。
法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹
2014年12月15日
法律事務所ホームワン