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【企業法務】ストレスチェック、来月義務化へ
12月1日改正労働安全衛生法が施行されます。
改正の柱は何点かありますが,一番話題になっているのはストレスチェックでしょう。内閣府の試算によると,年収600万円の社員が6カ月休職すると約420万円のコストがかかるそうですし,厚労省によると,自殺やうつ病による経済的損失は年約2兆7千億円に上るそうです。この数字は平成27年11月22日付日経からの引用ですが,経済紙らしい指摘です。
ストレスチェックのポイントは以下のとおりです。
労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師または保健師等による実施を事業者に義務づける。ただし、従業員50人未満の事業場については、当分の間努力義務とする。
ストレスチェックを実施した場合には、事業者は、検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。
労働者の同意がないと事業者は検査結果を知ることはできません。この同意は個別にもらう必要があり,就業規則で包括的に同意をとることはできません。
他にも以下の点が改正ポイントとしてあります。
1 危険・有害な物質に対する個別規制対象外の物質でも、使用量や使用法によっては労働者の安全や健康に害を及ぼすおそれのあるものがあり,先般の胆管がん事件でも,こういった規制外の物質により申告な労災が引き起こされています。安全データシート(SDS)の交付が義務づけられている640物質について、事業者に危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)を義務付けられることになりました。
2 受動喫煙を防止するため、事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずることが事業者の努力義務とされました。当初の案では努力義務ではなく,法的な義務付けをしていましたが,一歩後退しました。受動喫煙防止対策のための補助金制度も今後出てくる可能性があります。
3 安全衛生関係法令に違反し、一定期間内に同様の重大な労働災害を複数の事業場で繰り返し発生させた企業に対し、改善計画の作成等を指示できる仕組みを創設します。具体的な要件は省令等で定まる予定です。また,指示に従わない,計画を実施しない場合は勧告を行い、勧告に従わない場合に企業名を公表する仕組みも創設されました。
4 規模の大きい工場等で、建設物、機械等の設置・移転等(生産ライン等の新設・変更)を行う場合の事前届出が廃止されます。ただし,危険な機械等の設置・移転等,大規模建設工事,一定規模以上の建設工事の事前届出制は従前のまま維持されます。
5 ボイラーなど特に危険性が高い機械を製造等する際に受けなければならないこととされている検査等を行う機関(登録検査・検定機関)のうち、日本国内に事務所のない外国に立地する機関についても登録を受けられることになります。非関税障壁の撤廃に向けた動きの一つです。
2015年11月27日
法律事務所ホームワン