企業法務コラム

【企業法務】2次会のセクハラで会社の責任を肯定する判決

大手自動車メーカー系販売会社の派遣社員だった女性が、新入社員歓迎会の2次会でセクハラを受けたとして、同社と男性上司に損害賠償を求めた訴訟で、12月22日福岡地裁は会社と上司に計約30万円の支払いを命じました。

判決によると、女性は昨年7月、福岡市内の自動車販売店に派遣され、8月に歓迎会が開かれ、その2次会があったスナックで女性が立って歌っていると、男性社員が女性の太ももを抱えて持ち上げ、その際にスカートがずり上がったとのことです。

また、別のニュースソースによると、その後、この女性は嘔吐症や心身症などと診断され、同月下旬に退職したとのことです。

勤務時間後であっても、社内行事としての歓迎会で、社員が女性社員にしたセクハラについて、会社は使用者責任を負いますが、この判決は、さらに2次会でも責任を負うとしました。1次会参加者のうち、気のあった者同士での2次会ということであれば、会社の責任は生じなかったでしょう。

ただ、上司が女性社員を誘ったこと、自分たち新入社員のために開いてもらった酒席の二次会だったこと、女性社員が入社1カ月そこそこだったことからすれば、女性も参加を断りにくかったでしょう。
そうした点をとらえて「職務との密接な関連性」が認められたのではないかと思われます。

さて、さらに二次会の帰り、上司が女性社員をタクシーで送っていく際に、セクハラがあった場合に会社は責任負うのでしょうか。

この点を扱った判例を知らないのですが、興味のあるところです。

※このタクシー内でのセクハラは、よくあるパターンです。女性は単独で、ないし女性同士でタクシーに乗せ、上司は同乗しない方が賢明でしょう。タクシー代を浮かそうというのも分かりますが、終電時間を把握して終電前に返すのが管理職の務めです。

2016年01月05日
法律事務所ホームワン