企業法務コラム

【企業法務】ミシュラン掲載のレストラン過労死事件判決

大阪のミシュラン掲載のフレンチレストランの調理師が過労死し、大阪地裁が2月21日、約8400万円の支払いを命じました。この人は朝8時に出勤し午前2時に退店、ときには午前2時以降も発注作業に追われることもあったとか。休憩時間は1時間程度、過去1年間の平均時間外労働は月約250時間というものでした。

この裁判が注目されるのは、死因が、ウィルス感染が原因で発症した劇症型心筋炎だということです。長時間労働と心筋梗塞・脳溢血との因果関係、うつ病との因果関係は、医学上明らかにされ、労災認定も普通に認められていますが、ウイルス感染による疾患について、長時間労働を理由とする安全配慮義務違反を認めた判例はこれが初めてではないでしょうか。医学鑑定も分かれており、裁判官もかなり判断に迷ったものと思われます。
通常は通らない主張ですが、月250時間というのは異常です。あまりの長時間労働ゆえの判決でしょう。地裁の裁判官としては、高裁で和解させる考えもあって、このような厳しい判断をしたのかもしれません。
なお、この件は労災不支給決定も争われており、同じ大阪地裁で令和元年5月15日に不支給決定を違法とする判決が出ています。興味のある方は、労働判例1203号をお読みください。

調理師過労死、ミシュラン掲載のフランス料理店に賠償命令 定休日出勤も

2020年02月26日
法律事務所ホームワン