企業法務コラム

【企業法務】新型コロナウイルスの雇用調整助成金に関する誤解

(誤)
会社が助成金を申請すれば、労働者に助成金が支払われる。
(正)
会社が助成金を申請して、会社に助成金が支払われます。

(誤)
給料の9割が助成金として支払われる。
(正)
給料の9割ではなく、休業手当の9割です。
しかも最大で9割ということで、全て9割ではありません。
ちなみに3月分までは2/3(中小)1/2(大企業)
4月1日から6月末までは 4/5(中小)、2/3(大企業)(解雇等を行わない場合は9/10
(中小)、3/4(大企業))
法律上は平均賃金の6割を休業手当を払うとありますが、それを超えて払う場合、超える部分(9割払った場合は3割)は全額支給されます。
但し、1人あたり1日8330円という上限があります。

(誤)
とにかく申請書を提出するのが先だ。
(正)
雇用調整助成金の申請は、通常下記のような流れで行います。
(1)休業計画を立て、労使協定を行う
(2)1に基づいた休業実施計画届等を提出する
(3)雇用調整(休業)の実施
(4)支給申請を行う
(5)労働局による審査・支給決定・振込
このようにまず(2)の届出を行い、休業を実施した後、初めて(4)の申請をすることが可能です。


(誤)
出す書類はA41枚ほどの簡単なもので足りるみたいだ。
(正)
日本政策金融公庫の特別貸付と混同しているのではないでしょうか。
まず、助成金を申請する前に以下の書類の提出が必要です。
・休業等実施計画届(休業予定日、規模等を記載。)
・事業活動の状況に関する申出書((売上簿、営業収入簿、会計システムの帳簿等のコピーで可)
・休業協定書
 労働組合員名簿、労働組合がない場合は労働者代表選任書の添付が必要
・事業所の規模を確認する書類(既存の労働者名簿及び役員名簿で可)
申請書には次の記載が必要です。
・支給要件確認申立書・役員等一覧
・休業・教育訓練実績一覧表
・助成額算定書
・(休業等)支給申請書
・労働・休日の実績に関する書類
 ア 出勤簿、タイムカードのコピー等
  (手書きのシフト表などでも可)
 イ 就業規則または労働条件通知書の写し等
・休業手当・賃金の実績に関する書類
 ア 賃金台帳のコピー等
   (給与明細の写しなどでも可)
 イ 給与規定または労働条件通知書のコピー等

(誤)
緊急対策だから、1,2ヶ月で降りるだろう。
(正)
申請書に全く問題がなければ、2ヶ月ほどで給付が受けられます(4月末時点)。厚労省も連休から事務処理を行う者を5000人増員しているそうです。ただ、社労士に依頼しない場合、申請書に不備、不足が生じやすく、その分給付も遅れるため、時間は余分に見積もっておいたほうが良いかも知れません。

※2020年5月7日に訂正しました。

2020年04月10日
法律事務所ホームワン