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【法律コラム】ゼロゼロ融資は法人破産するとどうなる?
■ゼロゼロ融資とは?
ゼロゼロ融資は、利息の支払については最大3年間、元金の支払については最大5年間猶予されることになっています。しかし、実際の融資では、返済開始は既に始まっています。全国地方銀行協会会長は2020年3月16日の記者会見で、ゼロゼロ融資について「2021年9月末で残高がある約40万件のうち、既に4割で返済が始まり、今年9月末までにおよそ5割に上る見通し」と述べています。大阪信用保証協会の保証でゼロゼロ融資返済中の8万社中、2020年7月時点で返済開始している企業が46%あまりあり、来年度には8割を超える企業が返済を開始するようです。
■法人破産するとゼロゼロ融資の返済はどうなる?
ゼロゼロ融資を受けた中には、コロナ禍以前から経営が厳しかったところ、ゼロゼロ融資でなんとか継続できたという企業もあるでしょうし、以前は良好な経営状態だったけれど、コロナ禍による長期的な需要の変化などから、今後経営が厳しくなる企業もあるでしょう。最近では、円安、商品高による輸入価格の上昇も加わり、今後、経営の見通しも立たないという事業者も多く出てくる可能性があります。
2020年3月に、中小企業向け私的整理ガイドラインができ、私的整理の道筋がととのいました。
収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生じることで経営困難な状況に陥っており、自助努力のみによる事業再生が困難な中小企業が対象で、
①経営困難な状況にある中小企業者である債務者が、
②弁護士、会計士等の外部専門家の支援を受けて、事業再生計画案を策定し、
③これについて独立・公平な立場である第三者支援専門家による調査報告を経て、
④事業再生計画案につき、債権者である金融機関等全員の同意を得て、債務(主として金融債務)について返済猶予、債務減免等を受けることにより、
当該中小企業者の事業再生を図る制度です。
ただ、金融機関以外に取引先の負債が多額に上っていたり、業績の改善が見込めない場合は、金融機関を納得させられるだけの事業再生計画を作成することができないでしょうし、抵当権をもっている金融機関が事業再生計画に同意しないということも考えられます。そうした場合は、破産手続によらざるを得ないでしょう。
ゼロゼロ融資が無担保といっても、社長の保証は不可欠です。では会社が破産するということで、その保証人も破産することになるのでしょうか?
全銀協と日商が策定した「経営者保証に関するガイドラインでは、起業破綻時における経営者の免責についても定めています。
同ガイドラインでは
①金融機関は、事業再生等の早期着手により法人からの回収見込額が増加した場合、自由財産に加えて「一定期間の生活費(雇用保険の考え方を参考に、年齢等に応じて約100万円~360万円)」を経営者に残すこと、
②「華美でない自宅」について、経営者の収入に見合った分割弁済をする等により、経営者が自宅に住み続けられるよう検討することとなっており、
③保証債務履行時点の資産で返済し切れない保証債務の残額は、原則として免除することとなっています。
ただ、このガイドラインは法的な拘束力はないため、金融機関はこれに応じる義務はなく、金融機関以外に個人債務がある場合は個人破産も必要となってきます。
2022年08月04日
法律事務所ホームワン