企業法務コラム

【企業法務】厚労省 労働争議統計調査結果公表

厚生労働省は、8月2日付で、令和3年「労働争議統計調査」の結果を公表しました。

同調査では、労働組合と企業との間で生じた紛争を、ストライキ等の争議行為が現実に発生した「争議行為を伴う争議」と解決のために労働委員会等第三者が関与した「争議行為を伴わない争議」とに大別しています。
令和3年の件数は297件中、「争議行為を伴う争議」が55件、「争議行為を伴わない争議」が242件となっており、後者の方が主流を占めていることが分かります。

労働争議は、まずは労使だけで話し合い、妥協点を探りますが、協議が行き詰まったような場合に限り、労働委員会にあっせん、調停ないし仲裁を申し込むことができます。

労働委員会は、各都道府県ごとに置かれています。例えば、東京都には、東京都労働委員会(「都労委」と略称されています。)が設置され、東京都内の企業は都労委に手続きを申し込み、各県をまたぐような規模の労働争議の場合は、中央労働委員会に手続きを申し込むことになります。

あっせんとは、あっせん員が当事者の間に立ち、話し合いでの合意を目指します。当事者双方が合意に至らないときは、あっせん員があっせん案を提示し、合意を促すこともあります。労使それぞれが単独で申し立てることができます。

調停は、調停委員が双方の主張を踏まえたうえで調停案を作成し、合意を促す手続きです。あっせんと異なり、調停委員は当事者に、積極的に合意を勧めてきます。調停は労使双方が申し込むことが必要になりますが、労働協約に調停申請をできる旨の定めがある場合や、公営企業における紛争の場合、いずれか一方からの申請でも認められます。

仲裁は、仲裁委員が当事者双方の意見を聴き、仲裁委員が最も妥当な解決策を検討し、仲裁裁定書を作成し、当事者に交付することで手続は終了します。仲裁裁定書は労働協約と同じ効力があり、裁定の内容に対して当事者が異議や不服を申し立てることはできません。仲裁は当事者双方の申請が必要です。ただし、労働協約に使用者側が仲裁を受け入れる条項がある場合、公営企業の場合は、労働者側の単独申請が可能です。

参考リンク)
令和3年労働争議統計調査の概況
1 労働争議の種類別の状況(PDF)

2022年08月09日
法律事務所ホームワン