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横領・架空仕入れ横領の発生=税金逃れ?想像以上に深刻な横領の問題
横領や架空仕入れ等が行われれば、横領された金額、架空計上された金額以上の損害が会社に発生することになるのをご存知でしょうか。それは税金です。
横領額、架空計上額は本来会社に入ってくるべきお金です。それが従業員の横領により会社に入金されなかったとしても、それは会社内部の問題であり、会社はその分所得があったものとして法人税が課せられます。
それが過去5年間発生していれば、5年分の法人税が取られますし、延滞税(最初の2か月は4%+α、その後は年14.6%)、過小申告加算税(年10%)が発生します。
さらに怖いのは、過少申告加算税ではなく、重加算税がかかる場合です。重加算税とは、過少申告加算税または不納付加算税が課される場合において隠蔽や仮装がある場合に、増加の本税に対し年35%の税率で、また、無申告加算税がある場合において隠蔽や仮装がある場合に、増加の本税に対し40%の税率で課される追加課税のことを言います。
重加算税が課税されるか否かについて、横領や架空仕入れ等に限っては厳しい判断がなされています。以下の通り、法人の役員又は経理部門の課長について、重加算税が課せられた事例があります。
平成2年8月23日裁決
常務取締役が行った仕入金額の架空計上は、法人の代表者が知らなくても、法人の隠ぺい、仮装と同視すべき
平成5年10月12日裁決
専務取締役が行った売上除外、個人預金への留保は法人の隠ぺい又は仮装と同視すべき
平成7年12月14日裁決
経理部門等に属し、相当な権限を有する地位(課長等)に就いている者の隠ぺい、仮装は特段の事情がない限り、法人の行為と同視すべき
平成11年7月1日裁決
パチンコ店のフロアー責任者及び経理責任者の従業員が行った売上除外は横領目的だったとしても、法人の行為と同視すべき
平成15年12月16日裁決
法人の申告行為に重要な関係がある相当な権限のある従業員の行った売上除外は法人の行為と同一視すべき
平成22年1月7日裁決
法人が業務や管理の委託契約をした関連同族会社の取締役の隠ぺいはその法人の隠ぺいと同視することができる
但し、次のように述べて重加算税を否定とした裁決もあります。
- 当該使用人は、当該工場の所属課に配属されて以後、退社するまで同課において職制上の重要な地位に従事したことがなかったこと及び請求人の経理帳簿の作成等に携わる職務に従事したこともなかったこと等から単に資材の調達業務を分担する一使用人であったと認められること、
- 当該詐取行為は、当該使用人の私的費用を請求人から詐取するために同人が独断で取引先に依頼して行ったものであることを総合考慮すると、請求人が取引内容の管理を怠り、請求人から隠ぺい仮装するための当該使用人の仮装行為を発見できなかったことをもって、仮装行為を請求人自身の行為と同視することは相当ではない。
国税不服審判所平成23年7月6日裁決
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