事業承継

誰に継がせるか会社を親族、親族外に継ぐ際の留意点

事業をだれに継がせるかによって、承継の仕方も、注意点も異なります。

子どもに承継

多くのオーナーは会社を子どもに継いでほしいと思っていることでしょう。この場合、株式の売却、生前贈与、死因贈与、遺贈等 の方法があり、税金面での違いもあれば、その後の遺産分割において発生する問題点も違ってきます。

生前贈与の場合は、後継者側に贈与税がかかります。売却の場合、現オーナーには所得税が発生しますし、後継者にも、相続税評価額で売らないと、贈与税が発生してしまいます。相続 、死因贈与の場合、相続税がかかります。

相続財産中に不動産があった場合、登録免許税の税率もちがってくれば、不動産取得税がかかったり、かからなかったりといった違いもあります。

事業承継税制が、これまで条件が厳しかったため、利用が極めて低調でしたが、13年度の税制改正で使い勝手がよくなっていますので、この制度の利用も検討すべきでしょう。

生前贈与、死因贈与、遺言の場合、他の兄弟に渡す財産が少ないと、遺留分減殺(いりゅうぶんげんさい)といって、株式の譲渡を取り消すよう訴えられたりします。

こういった相続争いを起こさないためには、お子さんが、お金を払って株式を購入できれば一番良いのですが、お子さんにそれだけの資金があるのか、問題です。

ただ、これを解決するためにMBOを利用するという手もあります。これは後継者が事業承継の受け皿会社を設立し、この受け皿会社が銀行から融資を受けて、現オーナーから株式を購入し会社の支配権を取得、そのうえで、受け皿会社が承継すべき会社 を吸収合併する方法です。

従業員に承継

従業員に株式を売却することになります。その場合、

  • 従業員が株式買取資金を用意できるか
  • 従業員が銀行融資の保証人になる気があるのか
  • 現オーナーの個人資産が事業に提供されていたり、担保に入っていたりした場合の対処方法

等が問題になります。

要は従業員に相当のやる気がないと承継は困難です。従業員に贈与しても良いということですと、事業承継税制が13年度に改正され、従業員への贈与にも適用されるようになりましたので、これの利用も考えられます。

第三者に承継

いわゆるM&Aです。中小企業の場合、合併等ではなく、会社の売買(具体的には株式の売買)といった形で行われます。会社の売買というのは、通常の売買に比べて、

  • 売り手が今売りに出しているということを知られたくない
  • 買い手が本気と分かるまでは会社の具体的内容を話したくない
  • 値段というものがつけにくい

といった点で極めて特殊です。

このため、仲介業者の存在が必要不可欠になってきます。仲介業者は、買い手候補の中から適当と思われる会社をピックアップし、売り手に提示します。その後、売り手、買い手双方が具体的に協議を始めようという意思があれば、仲介業者が買い手候補に守秘義務を負わせたうえで、売り手会社のより細かい内容を伝えます。

双方乗り気になったら、トップ会談です。トップ会談で双方の腹が十分決まったところで、金額、引渡し時期の詰めを行い、決まったら基本合意書を締結します。

次に行われるのが、デューデリ(DD)と呼ばれる買い手側による売り手会社の調査で、買い手はこの調査結果を踏まえて本当に買うべきか、金額はこれでいいかを検討します。最後は細かい点も含めた最終合意書を作りますが、ここでは、表明保証条項が重要になります。通常の商品でいえば、品質保証書のようなものです。最後はクロージングです。

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