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信用保証協会信用保証協会とは
信用保証協会は、信用保証協会法に基づいて、各都道府県に設立されています(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市、大阪市には県単位の協会とは別に市単位の協会があります。)。各信用保証協会が加入する全国組織として全国信用保証協会連合会があります。信用保証協会は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、企業からの委託を受けて連帯保証人になることで、中小企業が融資を受けやすくしています。
信用保証委託契約の成立までと、代位弁済の前後の手続の流れ
- 中小企業が協会に金融機関に融資を申し込んでも、通常、信用保証協会の保証がないと融資して貰えません。この場合企業は、金融機関を通じて協会に信用保証委託を申し込みます。なお、協会に直接申込み、協会から金融機関に融資をあっ旋される場合もあります。
- 協会は、申込中小企業者の信用調査を行います。
- 協会が検討の結果、信用保証を適当と認めたときは、金融機関に対し信用保証書を発行します。金融機関の承諾後に信用保証書を発行します。
- 金融機関は、信用保証書に基づいて中小企業者に融資を行います。この際、中小企業者は協会との間で支払保証委託契約書を締結し、協会に対して所定の信用保証料を支払います。
- 中小企業者は、融資条件に従って金融機関に返済します。
- 中小企業者が支払を遅滞すると、金融機関は、協会に代位弁済(代弁)を請求します。
- 協会は、この請求に基づいて中小企業者にかわってその金額を代位弁済します。
- 代位弁済を行った協会に求償権が発生します。
- 協会は、中小企業者から求償権の回収を図ります。
東京信用保証協会では、無担保求償権などの管理回収業務を保証協会債権回収株式会社(保証協会サービサー)東京営業所に業務委託しています。
信用保証協会を利用できる企業
1.企業規模
原則として中小企業信用保険法に定める中小企業者を対象としています。常時使用する従業員数または資本金のいずれか一方が下表に該当していればご利用いただけます。
業種 | 資本金 | 従業員 |
---|---|---|
製造業等 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
医療法人等 | ― | 300人以下 |
その他、政令特例業種においては規模要件が異なるほか、上記希望を上回る場合に適用される(例えば製造業については資本金3億円超5億円以下、従業員300人超)中堅企業特例保証制度があります。
2.許認可等
許認可・届出等を要する事業を営んでいる(営む)場合は、許認可等を受けている(または受ける)ことが必要条件です。
3.外国人に対する保証について
- 入管法等の法律により本邦において事業活動の制限を受けていない者
- 申込人(法人の場合は代表者)及び実質経営者が外国人である場合は、住民票、在留カード(写)もしくは特別永住者証明書(写)の在留資格等により事業活動の制限の有無を必ず確認してください。
- 連帯保証人が外国人である場合も(2)と同様となります。
企業に対する保証付融資の限度額
保証付融資の最高限度額は、普通保証で2億円。これに無担保保証(無担保保険に係る保証)の限度額8,000万円を加え、通常2億8,000万円が限度となります。 ただし国の施策による特別の資金を対象とした保証や、制度融資の保証についてはそれぞれ別に融資限度額が定められています。
資金使途
- 事業経営に必要な運転資金と設備資金に限られます。
- 資金使途が次のような場合には、対象となりません。
- 生活資金、住宅資金、投機資金
- 既存の借入金返済資金(旧債償還資金)
ただし、当該金融機関からの既存保証付債務の返済資金や高利の返済資金などで、協会が認めた場合を除きます。
連帯保証人
原則、代表者以外の連帯保証人は不要です。
責任共有制度について
以前は、保証協会が融資額の100%を保証していましたが、金融機関のモラルハザードを防ぐため、平成19年10月から責任共有制度が導入され、金融機関が一定の割合(2割程度)を負担するようになりました。 但し、以下の場合は金融機関の負担を軽減し、金融の円滑化を図るべきとの政策的要請から、責任共有制度対象外として融資額の100%が保証されています。
- 経営安定関連保険(セーフティネット)1号~6号に係る保証
- 災害関係保険に係る保証
- 創業関連(再挑戦保証を含む)・創業等関連保険に係る保証
- 特別小口保険に係る保証
- 事業再生保険に係る保証
- 小口零細企業保証制度(全国統一の保証制度及び国の制度に準拠した自治体制度)
- 求償権消滅保証
- 破綻金融機関等関連特別保証(中堅企業特別保証)
- 日本大震災復興緊急保険に係る保証
- 経営力強化保証(責任共有制度対象外の保証付既往借入金を既往残高の範囲内で借り換える場合)
責任共有制度の例外
1.経営安定関連保険(セーフティネット)1号~6号に係る保証
対象者:取引先の倒産、災害等、外部環境による経営に支障が生じている中小企業
必要書類:通常の保証申込書類のほか、セーフティネット1号~6号に係る区市町村長の認定書
条文 | 対象者 | 要件 |
---|---|---|
1号 | 大型倒産(再生手続き開始申立等)の発生により影響を受けている中小企業者 | 倒産事業者との直接取引があり、その事業者に対する売掛金等を有していること、等 |
2号 | 取引先企業のリストラ等の事業活動の制限により影響を受けている中小企業者 | 事業活動の制限を行っている取引先企業との取引割合が20%以上であり、売上等が減少していること、等 |
3号 | 特定地域の災害等により影響を受けている特定事業を営む中小企業者 | 指定地域において指定業種を営んでおり、指定を受けた災害等により売上の減少を来たしていること、等 |
4号 | 特定地域の災害等により影響を受けている中小企業者 | 指定地域において1年以上継続して事業を行っており、指定を受けて災害等の影響により売上等が減少していること、等 |
5号 | 全国的に業況が悪化している業種に属する中小企業者 | 特定事業を営み、大臣が定める事由により経営の安定に支障を来たしている(売上の減少等)こと、等 |
6号 | 金融機関の破綻により資金繰りが悪化している中小企業者 | 破綻金融機関等と金融取引を行っており、適正かつ健全に事業を行っているにもかかわらず、金融取引に支障を来たしていること、等 |
2.創業関連保証
対象者:事業を営んでいない個人であって、次の(1)~(2)のいずれかに該当するもの
- 1ヵ月以内に新たに事業を開始する具体的な計画を有する者
- 2ヵ月以内に新たに会社を設立し、当該会社が事業を開始する具体的な計画を有する者
- 個人で事業を開始して5年を経過していない者
- 事業を営んでいない個人により設立された会社であって、設立の日以後5年を経過していない者
担保:不要
貸付限度額:1000万円
創業関連保証、創業等関連保証及び一般関係の無担保保険に係る保証を併用する場合には、無担保保険の限度額(8000万円)以内。
必要書類:創業計画書(対象者(1)(2)の場合)
東京都制度融資等の場合、上記に加えて制度要項で必要書類が定められている。
3.創業等関連保証
対象者:事業を営んでいない個人であって次の(1)~(4)、会社であって(5)(6)のいずれかに該当するもの
- 事業を営んでいない個人であって、借入金額と同額以上の自己資金を有し、1ヵ月以内に新たに事業を開始する具体的な計画を有するもの
- 事業を営んでいない個人であって、借入金額と同額以上の自己資金を有し、2ヵ月以内に新たに会社を設立し、当該会社が事業を開始する具体的な計画を有するもの
- 会社が自らの事業の全部または一部を継続して実施しつつ、新たに中小企業者である会社を設立し、当該会社が事業を開始する具体的な計画を有するもの(保証対象は親会社)
- 事業を営んでいない個人が個人で事業を開始して5年を経過していないもの
- 事業を営んでいない個人により設立された会社であって、設立の日以後5年を経過していないもの
- 会社が自らの事業の全部または一部を継続して実施しつつ、新たに設立した会社であって、設立の日以後5年を経過していないもの
保証人:法人代表者のみ
担保:不要
貸付限度額:1,500万円
【自己資金=次に掲げるAの合計額-Bの合計額】
A 自己資金:当該創業予定の事業にあてるために用意したもの
- 普通預金、定期預金等残高を証明できるもの
- 有価証券(協会が定める一定の評価率を乗じたもの)
- 敷金及び入居保証金
- 申込前に導入した当該事業用設備(不動産を除く)
- その他客観的に評価が可能な資産(不動産を除く)
B 借入金
- 住宅ローン、設備資金等2年超の長期返済を前提としたものは、年間返済予定額の2年分
- アに該当しないものは当該借入金全額
創業関連保証、創業等関連保証及び一般関係の無担保保険に係る保証を併用する場合には、無担保保険の限度額(8,000万円)以内。
必要書類:自己資金の確認資料及び創業計画書(対象者(1)(2)(3)の場合)
東京都制度融資等の場合、上記に加えて制度要項で必要書類が定められています。
4.特別小口保険に係る保証
- 対象者:次の要件を満たす個人事業者
- 従業員数20人(卸売・小売・サービス業は5人)以下
- 同一都道府県において同一の事業を保証委託申込日以前1年以上引き続き行っていること
- 保証委託申込日以前1年間において納期の到来したア~ウのいずれかの税額があり、かつ完納していること
- 源泉徴収による所得税以外の所得税
- 事業税
- 所得割のある住民税
- 貸付限度額:1250万円
- 必要書類:通常の申込書類、納税証明書等
5.小口零細企業保証制度
- 対象者:従業員数が製造業20人(卸売・小売・サービス業5人)以下の会社・個人等
責任共有制度の実施に伴い、金融環境変化の影響を受けやすい小規模・個人企業を対象として創設された全国統一制度
- 貸付限度額:1250万円
既存の保証付融資残高との合計が1250万円以下
全国統一制度に準拠した区市町制度融資があり、それぞれ条件等で違いがあります。東京都の場合は「都小口」と呼ばれており、東京都が保証料の2分の1に相当する保証料を補助します。
保証料率
1.保証料率の意味
中小企業者は信用保証を受けることの対価として、協会に保証料を払います。
保証料は、融資額に保証料率を掛けることによって決められていました。以前、保証料率はどの企業も一律でしたが、平成18年4月1日以降は「信用保証料率の弾力化」と言って、各企業の経営状況等を踏まえて9区分となり、優良企業ほど低い料率で保証を受けられることになりました。
一般社団法人CRD協会が提供する中小企業信用リスク情報データベース(CRDといいます)により、確定決算内容を評価し料率を決定します。
2.保証料率はどうやって算出されるものか
CRDは、政府系金融、信用保証協会から収集した膨大なデータを元に、総資本/自己資本当期利益率・営業利益率等の収益性指標、自己資本比率・流動比率等の安全性指標、経常利益/当期利益/自己資本増加率等の成長性指標等の76指標を使ったスコアリングモデルを作っています。
3.責任共有対象か対象外か
それぞれで料率が違います。
4.保証料率についての特例措置
責任共有保証料率を適用する場合、融資合計金額が1000万円以下の場合には保証料率の上限が1.55%(基本の料率から0.35%の引下げ)に下げられています。
500万円以下の場合は上限1.27%(同0.63%の引下げ)と、低い保証料率にされています。各自治体の制度融資を利用すれば、一般保証の料率よりも低い保証料率が適用されます。
5.保証料率割引制度
- 担保を提供した場合、0.1%割引となる場合があります。
- 中小企業の会計に関する基本要領の全項目について、財務諸表の作成に携わった公認会計士または税理士が適用状況を確認した書類を提出した場合、会計参与設置の登記あることの証明、公認会計士または監査法人の監査を受けたことを示す監査報告書の写しがあれば、適用料率から0.1%割引となります。
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