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与信管理与信管理を正しく行い、債権の管理を自社で行う方法
与信管理とは
商取引は現金取引ではなく、与信取引(信用取引)で行われているケースも多くあります。与信取引(信用取引)とは、要は代金後払いの取引です。月末締めの翌々月末日払いといった決済方法もこれに該当します。継続的取引においては信用取引が必須とも言えますし、単発的な取引でも相手の資金繰りに併せて信用取引に応じることもあります。
ただし、取引先の将来の支払約束を信用して取引するのですから、取引先が本当に信用するに足りる相手かを取引前に十分に確認すること、取引後も取引先の経営状況に配慮することが必要となってきます。それらの確認、配慮が与信管理です。
与信管理の必要性
外部から見てわかるくらい業態が悪化した会社には、回収可能な資産などほとんどないのが現実です。そのため、取引開始前に徹底した信用調査を行い、危なそうな会社には売掛を作らないことが賢明です。どうしても売掛を作らざるを得ないなら、代金を確実に回収できるよう、取引開始時から債権保全策をコツコツと積み重ねましょう。
取引先の信用調査
売掛取引など、取引先の信用に頼った取引をする以上は、取引開始前の調査が不可欠です。取引先の支払能力の裏付け(信用状態)を把握するための情報収集・分析活動を信用調査といいます。以下に具体的な信用調査の方法を列挙します。
信用調査会社(帝国データバンク、東京商工リサーチ等)の利用
商業登記簿謄本、不動産登記簿謄本の取得
取引開始時点においては勿論、取引が終了するまで定期的に取得すること
本店所在地および役員の変更にも注意(チェンジオブコントロール条項とも関連)
社歴の長い会社を買取り、社歴が長いように装う会社に注意。
不動産登記簿謄本等の取得
- 所有者が個人か法人か
- 担保設定の有無、内容
- 商工ローン業者、個人債権者が抵当権を取得していないか
- 根抵当か普通抵当か
- 税金の滞納処分、過去の滞納処分登記の解消にかかった時間
- 共同担保目録の活用
- 先順位抵当権登記ある場合、無剰余取消の可能性
- 賃貸不動産は賃貸人、賃借人の確定が重要
債権譲渡登記
- 債権譲渡登記をしながら、債権譲渡通知をしない場合が殆ど
- 債権譲渡登記は都内では中野出張所でしか扱っていない
http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/table/shikyokutou/all/saiken.html
第三者が登記所に申請しても、登記日、譲受人が記載された簡略な書面しか交付されません。さらに譲渡債権額を知るには、譲渡当事者から委任状をもらい登記事項概要証明申請をしなければならない。
財務内容分析
- 取引先から決算書入手するよう努力
- 財務分析するには直近3期分の決算書が必要
- 流動比率、在庫回転期間、売掛債権回転期間等の財務指標を定点観測
- 貸借対照表、勘定科目明細を精査し、担保権を設定する目星
実地調査
- 取引先の会社の雰囲気(従業員の対応)
- 経営者の性格、資質、信用性
- 反社の観点も重要
取引先金融機関および売掛先
- 預金を差し押さえるには支店名も必要です
- 金融機関から貸付金による相殺を主張される可能性
- 預金差押えは従業員給与支給日直前がタイミング
- 売掛先の差押えは有効。日ごろから売掛先を把握する努力が必要
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