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団体交渉の進め方のポイント団体交渉には誠実に応じることが重要です
団体交渉とは?
団体交渉とは、「労働者の集団または労働組合が代表者を通じて使用者と労働者の待遇または労使関係上のルールについて合意を達成することを主たる目的として交渉を行うことと労働協約の締結、労働時間、貸金、その他の労働条件に関して交渉を行うこと。交渉を行う権利のことを「団体交渉権」といい、憲法で保障された労働三権のひとつである。使用者は、労働組合からの団体交渉の要求に正当な理由なく拒否することはできない。
ユニオンの存在
団体交渉には社内の労働組合から申し込まれる場合と社外の合同労組(ユニオン)から申し込まれる場合とがあります。ユニオンには連合等の全国中央組織系のユニオンもあれば、独立系のユニオンもあります。ユニオンと言ってもその実態はいろいろということを理解しておく必要があります。
ユニオンは従業員一人でも、アルバイトでも加入できるため、労働組合のない、労働組合加入資格のない従業員の受け皿になっています。多くのユニオンがホームページで組合への加入を呼び掛けており、こうしたホームページを通じて加入する人が殆どです。
ユニオンの中には「自分は成田闘争で管制塔の中に立てこもっていた」との武勇伝を披露された人もいました。ユニオンを甘く見てはいけませんが、必要以上に恐れて団体交渉を拒絶すると逆効果です。普通の労働組合と同様に、法にのっとって対処すればいいだけです。
街宣車での街宣活動への対抗手段
街宣車を会社の前につけ、街宣活動を行うこともあります。特に、ユニオンの場合、当事者となる従業員は一人だけですから、事業所内で活動できないため、会社の玄関先の路上で街宣活動を行うことがあります。ただ、このような活動も、労働組合活動として認められており、社会通念上許容された範囲内のものであれば、不法行為とはなりません。
ただ、宣伝内容が虚偽であり、当該内容を真実と信ずるにつき相当の理由のない場合は、不法行為となりますので、まずかかる行為の差し止めの仮処分を申し立て、ついで、差し止め請求及び損害賠償を求める裁判を起こすことになります。
また、社長の自宅近くでの街宣活動は、私生活の平穏を侵害するものとして、不法行為になりえます。
- 加部建材・三井道路事件 東京地平15.6.9労判859号32頁
- 旭ダイヤモンド工業事件(東京地判平25.5.23労判1077号18頁)
団体交渉申入書を渡すための立ち入り
ユニオンの場合、労働組合の人間が従業員でないため、そのような立場の人間が、労働組合活動を理由に団体交渉申入書を社内に直接提出することが許されるかですが、少人数で数分間ほどであれば許されるとした裁判例があります。しかし、これが多人数で押しかけたり、長文の申入書を読み上げる等して長時間いすわるとなれば、不法行為になりえます。
団体交渉には誠実に応じる義務
労働組合法は「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」を不当労働行為として禁止しており、使用者は、団体交渉に応じなければなりません。それだけでなく、使用者には、誠実に団体交渉に応じることも求められています。すなわち、使用者は、単に組合の主張や要求を聴くだけでは足りず、組合の要求に対して回答することはもとより、従業員を納得させるための資料を示すなどして、合意達成の可能性を探らなければなりません。使用者がこのような誠実交渉義務を果たさない場合も、不当労働行為に該当します。
団体交渉を拒否した場合どうなるか
その場合不当労働行為として労働委員会に救済申立を行うことができるとされ、組合に不用の交渉材料を与えてしまいます。そうならないように、団体交渉には誠実に応じることが必要です。
団体交渉の範囲はほぼ無制限
解雇、配転、未払い残業代、ハラスメント、休憩時間の確保等、労働条件ないし雇用の確保に関する事柄であれば、全て対象となります。
軽い気持ちで書面を書かない
労働条件や今後の団体交渉の在り方についての団体交渉の場合、組合は、話し合いの結果を書面化することを求めてきます。うっかり覚書程度のつもりで、書面に社長が署名押印してしまうと、その書面が労働協約として成立してしまいます。労働契約中、労働協約に反する部分は無効となりますし、労働協約上の基準が就業規則や労働契約などで決められた基準よりも優先し、会社は労働協約で決められた基準を遵守しなければならなくなってしまします。
有効期限が定めてなければ、90日の予告期間を定めて解約できますが、有効期限(3年を超えることができない)内は拘束されてしまいます。
団体交渉には弁護士のサポートが必要です
団体交渉を社労士の方に相談される経営者も多いと思いますが、一番の違いは、弁護士は、会社経営者の代理人となって、代わりに交渉することが出来るという点です。弁護士が代理人として積極的に関与することで、法的見地からしっかりと対応することが出来ます。
また、労働組合との団体交渉は、常に不当労働行為の危険と隣り合わせです。他にも、即座に対応を求められる場面があったり、継続的な団体交渉に発展する場合もあります。常日頃から、こういったリスクマネジメントをするため、顧問弁護士としてしっかりと弁護士のサポートを受けておくことが必要なのです。
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