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- 「DNA鑑定と親子関係」編
DNA鑑定と親子関係
2014年1月28日に文化放送「くにまるジャパン」に出演した際に話した内容を掲載しています。 テーマは「DNA鑑定と親子関係」です。
- パーソナリティ
- このところ、テレビのワイドショーや、芸能ニュースを賑わせている、元アイドルの男性と、女優の間に生まれた長男の話題。「DNA鑑定」が問題になっていますよね。
- 弁護士
- DNA鑑定の結果を巡って、血縁関係が0%と99.9%。双方の主張が真っ向から対立していますね。このまま裁判まで発展、という報道もあるようです。 仮に裁判となると、男性側から、親子関係が「不存在」…存在しないことを確認する訴訟を起こす可能性があります。
- パーソナリティ
- 裁判は、証拠に基づいて物事をきっぱり決着させるわけですから、DNA鑑定の結果次第でシロクロがつくわけですよね。
- 弁護士
- ところが、そう簡単にはいかないんです。判例を見ますと、「血縁上の親子関係が0%」イコール「法律上の親子関係もなし」と一律に決めている訳ではないんです。 DNA鑑定はもちろん重要な証拠なのですが、それ以外にも、ケース・バイ・ケースで、親子がどんな関係を築いてきたか、…といったところも判断の材料になっています。
- パーソナリティ
- 具体的にはどんなことでしょう。
- 弁護士
- 昨年、60代の男性が、赤ちゃんのときに病院で取り違えられていたのがわかって、裁判で,病院に対する慰謝料が認められた,というニュースがありました。
実は,この事件では、この裁判とは別に,もう片方の取り違えられた家族の方で,「弟」たちが、すでに亡くなっている両親と「兄」との間の親子関係はない、という裁判を起こしていたんです。 - パーソナリティ
- どんな裁判だったんでしょう?
- 弁護士
- 第一審の東京家庭裁判所では、DNA鑑定の結果どおり、両親と兄の間には親子関係がない,と確認する判決が出ました。
ところが、第二審の東京高等裁判所では、「弟」たちの請求は,「権利の濫用」として認められませんでした。
そして最高裁もこの「弟」たちの上告を受理せず、高裁判決が確定しました。
DNA鑑定で血縁関係がないことがわかっていても、両親と「兄」との親子関係は否定されなかったわけです。 - パーソナリティ
- なぜ法律的には、親子関係ということになったんですか。
- 弁護士
- 高裁の判決では、弟たちの訴えを認めるかどうかに当たって5つの事情を検討しています。
まず1つ目は、兄と両親はおよそ五十年の間、実の親子と同様の生活の実体があったこと。
2つ目、両親は既に亡くなっていて、改めて養子縁組をするのは不可能なこと。
3つ目、親子関係不存在が確認されたら、兄が重大な精神的苦痛、及び少なからぬ経済的不利益を受けること。
4つ目、裁判を起こした動機が相続争いであること。
そして5つ目、弟たち以外に不利益を受けるものがいないこと。
これらの事情から、訴えが退けられたわけです。 - パーソナリティ
- 血縁関係よりも、事実上の親子関係を認めた…となると、今回の元アイドルの方のケースも、どうなるか分かりませんね。
- 弁護士
- ただこの2つのケースには、違いがあります。赤ちゃん取り違えの方は、事実上親子でいた期間が50年。そして両親とも既に亡くなって、裁判の当事者は兄弟です。
一方、元アイドルは親子関係がまだ十七年、両親ともに健在、当事者が親子。仮に裁判になったら、これらの違いも踏まえた上で、裁判が進んでいくと思います。 - パーソナリティ
- 難しい問題ですね。
- 弁護士
- 裁判せず、話し合いで今後を決めるっていう道もあります。お子さんのため、よりよい方向で話が進むといいですね。
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